活動記事

2016年9月6日
平成28年度 第1回地域ITS研究会
日 時:平成28年9月6日(火)
場 所:NSSニューステージ札幌 5F会議室

 

講演1
北海道におけるドライブ観光と観光データ活用ツールについて
水野 一男 様
(株式会社デンソー 情報安全事業グループ 情報安全技術企画室)

北海道のドライブ観光に関する官民が連携した調査に長く携わられている水野様より、訪日外国人の状況、レンタカー動態調査の方法と課題、ETC2.0社会実験の参加状況や、北海道のドライブ観光における課題と対策についてご講演を頂きました。

北海道での外国人へのレンタカー貸出件数は、香港・台湾・シンガポール・オーストラリア等の右ハンドル地域や国の利用者を中心に増加しており、外国人の北海道観光のニーズは、かつての"爆買"団体観光から、レンタカーを活用した体験型・個人周遊型のドライブ観光へ転換点を迎えているとのことです。  

レンタカー動態調査の方法にはGPSロガや携帯端末のアプリが用いられていましたが、電池消費量や通信量等のコストの課題が大きく、長期で調査を行うことが困難でした。その課題の克服手段として、国総研の社会実験に参加され、ETC2.0のプローブデータを活用した観光情報利用の実現性検討に取り組まれています。講演では、収集されたデータについても一部ご紹介を頂きました。  

今後のドライブ観光をより良くするためには、鮮度のある情報を、適切な画面サイズ・情報量で提供できる観光サイトや、利用者が安心・安全にダウンロードしやすいアプリなど、官民一体による観光サイト作り・連携運用の仕組みの検討が必要とのご指摘を頂きました。  

質疑応答では、社会実験で利用しているETC2.0のデータに関する質問や、官民一体のドライブ観光に関するサイト・アプリ作りの視点についての質問などがあり、活発な質疑応答が行われました。


講演の模様
講演2
冬季間悪視界下で機能するナビゲーションシステムへの取り組み
川村 武 様
(北見工業大学 工学部 准教授)

川村先生から、吹雪による視界不良時に、反対車線を気付かず峠を走行していたという大変危険なご経験を契機に研究を始めたという動機から、RF-IDの活用により視界不良時に車両の位置推定・誘導を行う取組についてご講演を頂きました。  

RF-IDシステムは、路面に埋設したRF-IDタグに書き込まれた位置情報等を、自動車に搭載したRF-IDアンテナを利用して読み込み、道路に対して自動車の進んでいる方向をドライバーに情報提供することで、車両誘導を行います。GPSによる通信には建物の陰で精度が低下するマルチパスなどの課題もありますが、RF-IDシステムは路面と自動車間での近距離無線通信のため、天候や周囲条件に作用されずにドライバーへ情報提供できることがメリットとのことです。  

プロトタイプシステムで行っていた気泡緩衝材でフロントガラスとサイドガラスを隠した状態での直線走行実験の様子や、現在の誘導システム、RF-IDタグの配置方法、交差点での右折誘導についての取組もご紹介を頂きました。  

今後は、路面に埋設したRF-IDタグの活用方法や交信方法などの知見を、他分野へ応用することもご検討されているとのことです。

質疑応答では、路面への積雪や轍、氷盤路のもたらす影響についての質問や、大型スノーポールRF-IDへのタグ設置の可能性についての質問などがあり、活発な質疑応答が行われました。


講演の模様