活動記事

2006年7月27日
平成18年度 第1回地域ITS研究会
日 時:平成18年7月27日(木)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター

 

話題提供1
「これ出すシステム」について
岩崎 亮治 様
(ニセコビュープラザ直売会  事務局長)

道の駅『ニセコビュープラザ』で運用されている「これだすシステム」の開発時から、現在の運用状況までご紹介いただきました。

  • ニセコビュープラザ直売会は平成9年度に5戸の直売会員でスタートし、現在43戸の直売ブースと2戸のショップブースを運営している。また、直売会は平成10年から組織化され、現在役員12名、会員60名となっている。
  • 当初は無人ブースで運営していたが、現在は、会員が当番制でお客様の対応をしている。会員がお客様の対応をすることにより、多くのファンが定着してきた。
  • システム導入の背景として、直売会は以下のような問題を抱えていた。
  1. 時間帯により商品が品切れになる事が多かった。
  2. 会員は、自宅では商品の売れ行きがわからないため、リスクを覚悟で商品の出荷を行っていた
  3. 季節や時間帯のデータ管理ができないので、売れ筋商品が把握できなかった。
  4. 大口注文の対応に、必要量が確保できるまで何度も会員に電話をしなければならなかった。
  • これだすシステムは以下の機能を有するシステムであり、平成17年9月に導入された。
  1. 毎正時に商品別の売り上げが各会員に、メールまたは電話(任意選択)で通知される。
  2. 売り上げが会員ごとに集計され、金融機関振込依頼書が作成できる。
  3. 大口の注文に対し、各会員に情報の一斉通知をすることができる。その際、会員は、出荷可能な数量を直売会に通知することができる。必要数量に達した場合直売会は、受付終了の通知を各会員に一斉通知することができる。
  • これだすシステムは以下の機能を有するシステムであり、平成17年9月に導入された。

【意見交換】

■他自治体等からの引き合い・問い合わせについて

  • システム導入前から、自治体、農協から引き合いが多くあった。農業以外でも、厚岸の漁業組合が視察にきたという例がある。また物流交換の依頼もあったが、直売会ではニセコ産の野菜しか販売しないため断ったという例もある。

■運営方法について

  • 直売会は、経費として売り上げの12%を差し引いた売り上げを毎日、会員の口座に振り込んでいる。納税なども直売会で行っている。
  • 商品に関するトラブルは、場合により、直売会が対応することもあるが、基本的には販売した農家が責任をもって対応している。
  • 購入した人の口コミ情報などは、不公平になる場合があるので公表していない。
  • 会員数は60名としている退会会員が発生した時に募集を行う。
  • 販売する野菜は、ニセコ産のものに限定している。その他の産地の野菜を販売した場合脱退処分となる。

■運営状況について

  • 口コミで全国から注文がくる。地方への販売は掛売り(発送時に直売会口座の請求書を同封)としている。今までに未払いなどのトラブルは1度もない。
  • 電話、FAXでの注文は生産者を指名する方が多い。
  • 冬は穀物や加工品を販売している。
  • 近隣のスーパーからの苦情はない。

■システムのメリットについて

  • 農協では形の悪い野菜は引き受けてもらえないが、直売所では販売する事ができるというメリットがある。
  • 日々収入が入ってくることが、生産者のやりがいにつながっている。
話題提供2
「道の駅等におけるミニFMの実証実験」について
河門前 勝己 様
(小樽開発建設部 道路課 第2係長)

小樽開発建設部で情報提供手段の一つとして取り組んでいるミニFMの実証実験について、その背景から検証結果までご紹介いただきました。

  • ミニFMで実証実験は、以下の背景のもと実施された。
  1. 平成16年の新潟県中越地震で、道の駅の駐車場に仮設住宅を建設するなど、道の駅の新たな役割が注目されている。
  2. 後志は、地震、噴火、台風など自然災害が多く、豪雪地帯である一方、道内有数の観光地であるという特徴がある。
  3. 道の駅では、情報端末やパンフレットなど自らも止めない限り情報を得る事ができないが、ラジオでの情報提供は、不特定多数の利用者に情報を提供できるメリットがある。
  4. ミニFMは免許が不要であり、機器構成も単純であることから、導入が容易である。
  • 機器性能チェック、情報提供に対するニーズ、複数の放送局での同時放送に関するシステムチェック、を目的とし、平成17年10月~平成18年7月に3度の試験放送を実施した。また、『スペースアップルよいち』では、企画から放送実施まで、地域の方々の手作りの放送を実施した。
  • 試験放送後に実施したアンケートでは、地域情報へのニーズの高さ、ラジオ放送が便利だと感じる方が多いことがわかった。
  • 多局同時放送は、インターネットを了した同時放送が可能であることが立証されたが、通信速度により音質が大きく左右されることが判明した。
  • 地域主体型放送では、番組の企画、準備、番組のネタ探しに苦労をしたという感想があった。一方機器操作に対する問題はなかった。
  • 今後は、定期的に実験を行う事により利用者満足度の検証、地域型放送の組織づくりなどが課題である。また技術的には、通信環境の整備とインターネットを活用した情報共有ツールの活用、文字情報の音声化など放送システム関連技術の応用が課題である。

【意見交換】

■システムの概要について

  • 試用する器材の値段は、既製品の場合数十万円かかるが、キットを購入すると十数万円で購入できる。
  • webを利用して、インターネットで放送することも技術的に可能である。
  • 放送基地の周辺に高い建物などがなければ、数百メートル先でも受信できる。

■アメリカの事例について

  • アメリカでは、経路案内をラジオ放送で行っている事例もある。移動すると移動した先でその後の経路案内をしている。また、同時に地域情報やその土地の歴史なども放送している。

■システムの今後について

  • ラジオを聴いていると、道の駅でお得な買い物ができるような情報を放送すると、駅に立寄る方は、ミニFMを聞く習慣ができるのではないか。聞くことを習慣付けることで、災害等の非常時に、より有効な情報提供手段になると思う。
  • シーニックポイントへの誘導などをしてみてはどうか。
  • 道の駅のミニFMとして、全ての駅で同じ周波数で聞くことができればより多くの方に放送を聞いてもらえるのではないか。