活動記事

2005年7月27日
平成17年度 第1回地域ITS研究会
日 時:平成17年7月27日(水)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター 会議室

 

話題提供1
官民連携による沿道情報提供の可能性について
山際 様
( 独立行政法人 北海道開発土木研究所 防災雪氷研究室 主任研究員 )

官民連携によって沿道情報の提供を行う「e街道」サイトの内容や取組み、アンケートなどについてお話しいただきました。また、沿道情報提供の可能性として、さまざまな沿道情報コンテンツの紹介や携帯電話の活用などについてもお話し頂きました。

  • 平成15年度より、「官民連携による道路の情報収集・提供実験」として、e街道サイトの運営を行い、現在も継続している。
  • e街道サイトは「官民の協同による安心・快適な冬期ドライブ環境づくり」「沿道情報の収集・共有・提供の仕組みづくり」を目的とし、コンビニ、スタンドなど、26の沿道ボランティアから、携帯電話やパソコンを使った情報の収集、道路用のXML(RWML)を使った情報の共有を行い、利用者に情報を提供している。
  • 平成16年度の実験結果として、利用者アンケートでは次のような意見があった。
    →通行規制などの情報は冬道の安全性・安心感の向上などに効果がある
    →地域だよりなどの地域の情報は地域のイメージアップなどに効果があった
    →ボランティアから、今後も参加したいとの声や、今後はさらに様々な情報を提供できる
  • 既存の道路情報を提供するサイトは主に「面的」に情報提供を行っており、「路線」として情報の提供を行っているサイトが少ない。例えばJRや飛行機などでは、「面的情報」として路線網図などがあり、「路線情報」として時刻表があるように、今後は道路情報の分野においても「面的情報」と「路線情報」の双方が必要であると考える。
  • 沿道情報の可能性として、官の有する情報だけではなく、地域や企業などが有するさまざまな情報が考えられる。

(意見交換)
以下の意見交換がありました。

  • 既存のホームページは確かに面的な情報サイト(地図を使った情報提供サイト)が多く、次は路線的な情報も大切だと思うが、利用者の使い勝手を考えると、一つの「路線」の情報よりも、「経路」の情報の方が良いのではないか。
  • 路線による情報提供では、次の3つの利点が考えられる。  
    1) 利用者は、経路が決まったあと、経路の付近にもっと良い景観があるのではないか? などを考える。この場合に、路線情報を使っていただきたい。
    2) 既存の面的サイトを集約できる。  
    3) 既存の各面的サイトで提供されている地図上の路線をクリッカブルにし、路線情報へリンクすると、既存の面的サイトがさらに使いやすくなる。
  • 面的サイトと路線サイトはバッティングではなく、共存するもの。Step1で面情報があり、Step2でその詳細として、路線があると考えることができる。
  • 「e街道」では、ボランティアからの投稿情報を提供している。ボランティア(26団体)の選定は、国道沿線のコンビニ・スタンド等に郵送による募集を行い、FAX返信で意思確認、意志のあるところに訪問して、お願いした。
  • これまで協力していただいてきたボランティアは今後も協力していただけると考えている。e街道は現在、後志管内で情報提供を行っている。後志にはしりべしiネットがあり、もともと熱意があったのも大きな要因と考えられる。
  • この取組みを他の地域に展開する場合、民間の協力は地域によって強弱が考えられるが、通行規制などの官から提供する情報だけであれば、他の地域にも比較的広めやすい。
  • 路線情報の提供は、他府県にはないはず。北海道は、都市間が長く、かつ情報が必要となるポイントもある程度限られているため路線での情報提供が適していると考える。例えば東京では沿道に情報がありすぎて、路線の形での情報提供は適さないのではないか。
  • 運営事務局の形成について、やりたい意志があれば誰でも事務局になれるのではなく、管理する仕組みが必要。利用者が納得するような機関に管理してもらう必要がある。
  • 民間との連携の方法に、バナー広告の掲載が考えられ、現在e街道での広告バナーの具体化案はまだないが、来年度などにはあってもおかしくない。
  • ホームページに有料バナー広告を設置するという状況は、民地に有料看板を設置するのと同様のイメージ。沿道に看板が立ち並ぶより、インターネットのバナーの方が見栄えがよい。
  • 横浜の例では、サイトに民の広告バナーを設置する費用として、TOPページでは7万円/月、下層ページでは、2,000円程度の徴収を行っている。
  • ボランティアにはインセンティブを高める工夫が必要。地域通貨や割引クーポンを配布やバナー広告を貼る権利などの可能性も考えられる。